SNSが変える美容のルール、デジタル世代の美の基準とは
SNSの流行により、美容のルールは大きく変わってきました。
2000年代以降携帯電話がスマホに移行し、インターネットが普及していきましたが、
生まれつきインターネットに触れてきた"デジタル世代"の美の基準が新しくなりつつあります。
InstagramやTikTok、YouTubeなどのプラットフォームを通じて、誰でも美容やスキンケアの情報を知ることができ、さらにはその情報を共有・発信できるようになりました。
それによって、以前のようなただ受信するだけの一方向的な
「美の基準」から多様性の時代へと変化してきました。
SNSは、トレンドの拡散力が高く、美の価値観の多様化を広げていくのと同時に、
新しい美意識を探す場となっています。
個性の重視
かつてのメディアは、ファッション雑誌やテレビといった一部のメディアを中心に美の基準を決め、モデルや俳優などの限られた「美の象徴」を中心に取り上げていました。
しかしSNSでは、これまで受信側だった多くの人達が自分の美容スタイルやトレンドを発信できるため、性別や年齢、人種を超えた多様な美しさが認められるようになりました。
たとえば、Instagramでは「#nofilter」や「#naturalbeauty」というタグが流行し、
ナチュラルな美しさを重視する動きが広がっています。
また、TikTokでは、肌のリアルな質感を見せる動画や、体型を強調するファッションが多くシェアされ、多様な体型やスキントーンの美しさが支持されるようになりました。
この多様性の広がりは、デジタル世代において特に影響力が強く
「自己受容」や「個性の尊重」が美の基準として確立されつつあります。
しかしSNSで「自分らしさ」を表現することが良いとされる一方で、
分かりやすく目に見えるフォロワーや「いいね」の数が自己評価に影響を与えることもあります。
そういった数字にとらわれてしまわないように、
内面と外見のバランスを保つことが大事といえますね。
メイク・美容のテクニックの進化
SNSを通じて、メイクや美容テクニックが日々シェアされ、日常的に使える「美の裏技」も広がっています。
InstagramのリールやYouTubeの動画では、コンシーラーの使い方、コントゥアリング、リップラインの引き方など、動画の中で実際にメイクをしていくことで、そのスキルが紹介されています。
これまでプロしか使わなかった技術も一般の人々にシェアされることで、プロに直接メイクを施してもらうことなく、そのスキルを上手に活用する人が増えています。
特に、メイクをより「自然に見せる」ための引き算メイクや、顔の個性を生かすメイクがトレンドとなり、自分に合ったスタイルを模索する人が増えています。
一方で、「美白」や「痩身」といった固定観念的な美しさのイメージが今でも存在はしていますが、SNSの影響でこのような基準に対する批判もあります。
こうした状況の中で、デジタル世代は自身の美しさを個性的に見せることや、
世間的な美しさという固定観念にとらわれず、自分に自信を持つことを学んでいるといえるでしょう。
フィルターとAR技術の影響
また、加工アプリ、フィルターやAR(拡張現実)技術の進化も、美の基準や自己認識に大きな影響を与えています。
InstagramやSnapchat、TikTokには様々なフィルターが存在し、小顔にしたり、目を大きくしたりと、顔の形や肌の質感を簡単に変えることができます。
このような加工技術は、自分のコンプレックスを修正することで、なりたい顔になれるといったメリットは大きいように思いますが、やはり加工した顔と現実のギャップが生まれるため、心理的な影響も無視できません。
特にデジタル世代の若者は、日常的にフィルターを使用しています。
加工をして実際よりも「盛る」ことで、理想の顔や体型に対する基準が高くなってしまい、自己評価に悪い影響を与えることもあります。
現実の自分と、加工をしてSNSに投稿している「理想の自分」のギャップが大きい場合、
現実の自分にがっかりしてしまい、逆に自己肯定感が下がっているというデータがあります。
このようなSNS利用による心理的なリスクにも関心が集まっています。
そのため、多くのプラットフォームが「ノーフィルター」や「リアルスキン」などのキャンペーンを行い、自己のリアルな美しさを受け入れる動きを促進しています。
サステナビリティと倫理的な美容
さらに、SNSの影響で、美容業界におけるサステナビリティや倫理的な製品の需要も高まっています。デジタル世代は環境や動物福祉への意識が高く、化粧品の成分や製造過程を重視する傾向にあります。
SNSでは、動物由来の原料を一切使わないヴィーガン化粧品や、動物実験を行わないクルエルティフリーの製品が数多く紹介され、影響力のあるインフルエンサーが人や社会、環境にやさしいものを選ぶという発信によって、さらにその動きは広がっています。
また、スキンケアにおいても、多くのアイテムを肌に重ねていくのではなくシンプルなお手入れで、本来健やかな肌の持つ力を育てるといった動きがトレンドとして定着しつつあります。
また、環境への負担を減らすためにリフィル可能な詰め替え製品や、リサイクル素材を使用するブランドが注目を集め、
これに合わせるように消費者も地球や環境に優しいエシカルな選択を行うことが求められるようになってきました。
まとめ
SNSが生み出した新しい美の基準は、個性の尊重と多様性というポジティブなものですが、
同時にフィルター技術による自己認識の変化、フォロワー数や「いいね」によって自己評価への影響といったデジタル世代ならではの問題も浮き彫りになっています。
それでも、美容の情報を簡単に検索し、さらにすぐ実践することができ、自分を表現していく手段が広がることで、従来の固定観念にとらわれず自分に合った美しさを追求できる可能性が開かれています。
今後、デジタル世代が抱える心理的な問題にも配慮しつつ、より健全で多様な美の基準が定着していくことが期待されます。変わりゆく美のトレンドやルールを追い続けていくには、あらゆる世代の価値観に触れていくことが重要です。
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