”エシカル”という言葉を一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

「エシカル（Ethical）」は、「倫理的な」「道徳にかなった」という意味を持つ言葉です。

元々は倫理学（Ethics）に由来し、個人や集団が行動や意思決定をする際に、何が「正しい」「良い」とされるかを考える基準を指します。

エシカルマーケティング（倫理的なマーケティング）は、企業が倫理的価値観や社会的責任を重視するアプローチで、近年注目されています。

 

これは、単なる商品の販売だけでなく、持続可能性や社会貢献を重視し、消費者との信頼関係を築くことを目指しています。

このようなマーケティング戦略は、ブランド価値を高め、長期的な成功につながる可能性があります。

 

以下に、消費者の心をつかみ、ブランド価値を向上させるためのエシカルマーケティングの戦略を示します。

 

近年のエシカル

近年では、エシカルは特に以下の文脈で使われることが多くなっています。

 

・エシカル消費：

商品やサービスを選ぶ際に、価格や品質だけでなく、その製品がどのように作られ、

社会や環境にどのような影響を与えるかを考慮する行動を指します。

〈例〉環境に配慮した製品（リサイクル素材、プラスチック削減など）

　　　フェアトレード製品（生産者が適正な賃金を得られる）

　　　動物福祉に配慮した商品（動物実験を行わない、オーガニック食品など）

 

・エシカルビジネス：

利益を追求するだけでなく、社会的責任や環境保護を重視する事業活動を指します。

〈例〉サステナビリティの実践

　　　社会的弱者を支援する取り組み

　　　倫理的な労働環境の確保

 

・エシカルなライフスタイル：

日常の中で、環境や社会への影響を考えて行動することを言います。

〈例〉ゴミの分別やリサイクル

　　　地元の農産物を購入するローカル消費

　　　エネルギーの節約

 

明確なミッションと価値観を伝える

企業のミッションや価値観を具体的に明示し、それに基づいた行動を示すことが重要です。

たとえば、以下のようなテーマが挙げられます。

 

・環境保護

・フェアトレード

・地域社会への貢献

・多様性とインクルージョン

 

例）アウトドアブランドのパタゴニアは、環境保護活動に積極的に取り組むことで、エシカルなブランドとしての認知を獲得しています。

 

サステナビリティを強調する

持続可能な材料や製造プロセスを採用し、環境への負荷を減らすことを積極的に発信することで、エコ意識の高い消費者に共感されます。

 

・再生可能資源やリサイクル素材の使用

・カーボンニュートラルな生産体制の採用

・商品の耐久性や修理可能性をアピール

 

例）化粧品ブランドのラッシュは、動物実験を行わないポリシーや、環境に優しい包装を使用することで、エシカルブランドとしての地位を確立しました。

消費者参加型の活動を促進

消費者が企業の活動に参加できる機会を提供することで、ブランドへのロイヤルティを高めます。

 

・社会貢献プロジェクトへの参加募集

・商品購入の一部を寄付する仕組み（例：TOMSの「1足購入につき1足寄付」）

・消費者の意見を取り入れる製品開発

 

透明性の確保

ビジネスプロセスにおける透明性を高めることは、信頼の基盤を築くうえで欠かせません。

 

・サプライチェーンの公開

・労働環境や条件に関する情報の提供

・商品の原材料や生産過程の詳細な説明

 

例）アパレルブランドのエバーレーンは、生産コストを公開する「ラディカル・トランスペアレンシー」を実践し、多くの支持を集めています。

 

社会課題への積極的な取り組み

社会的に重要な課題に対して声を上げたり、行動を起こすことで、ブランドの信念を示します。

 

・環境保護キャンペーン

・社会的不平等への支援

・緊急災害時の支援活動

 

ストーリーテリングの活用

エシカルな取り組みを感動的なストーリーとして伝えることで、消費者の心を動かすことができます。

 

・製品がどのようにして作られたか

・社会貢献がどのような影響を及ぼしたか

・社内外の人々のエシカルな行動に焦点を当てる

 

例）ダウニーの「匂いの思い出」キャンペーンは、香りが持つ人々の感情的なつながりを描き、消費者の共感を得ました。

 

批判的な目線への備え

エシカルマーケティングを行う際には、その取り組みが本物であることを証明し、

グリーンウォッシング（偽のエコ活動）との誤解を避ける必要があります。

 

・第三者機関の認証を取得（例：フェアトレード、LEED認証）

・数値データや実績を示す

・消費者からのフィードバックを積極的に取り入れる

 

まとめ

エシカルマーケティングは、短期的な利益よりも、消費者との信頼関係と長期的なブランド価値の向上を目指すアプローチです。

 

その成功には、誠実さと透明性、そして社会課題への真摯な取り組みが必要不可欠です。

消費者が共感できるストーリーを提供し、彼らがその取り組みに参加できる仕組みを構築することで、ブランドへの愛着を深めることができます。

 

弊社では、多数の専門家が在籍しております。

お悩み事がある際は、ぜひお気軽にご相談ください。